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私たちの提言

宮城県の復興計画に対する 私たちの提言

ダイジェスト版(みやぎ県民センターニュース・№4)はこちらからご覧いただけます(PDF版)県民センターニュース№4

県民のみなさん
あの3・11東日本大震災は、宮城県内にも未曾有の被害をもたらしました。宮城県内では、死者・行方不明者が11,600余人にのぼります。

県がまとめた農林水産関係被害は、約1兆2273億円(農業関連5144億円、畜産関連50億円、林業関連136億円、水産業関連6850億円、県所管施設93億円)に達します。

大災害から6カ月経ちますが、生活基盤の回復は遅々として進みません。いまなお義援金も支援金も満足に配られず、県内117か所の避難所に2,853人の被災者(9月7日現在)が避難所生活を余儀なくされています。また、様々な理由で、車中生活を送っている方々。応急仮設住宅は“飯場まがい”のものも多く、80歳の高齢者が入居した仮設住宅がバリアフリーではない・・・・・・被災者が人間らしい生活を取り戻すまでにはなっていません。残念ながらその仮設住宅で孤独死が発生しています。

さらに、福島原発事故から放出された放射性物質が飛来し、宮城県でも牧草や稲わら、牛肉から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出され、一時、肉牛が出荷停止に追い込まれるなど被害が深刻化しています。

このように、県内の多くの被災者・被災地の状況は「復興」どころか、いまだ救助の段階にあります。

「一日も早く、被災者が再出発できるように」「くらしと生業のたてなおし」こそ、共通の思いではないでしょうか。

(一)住民意思にもとづく復興計画に

「希望のもてる復興を」――被災者の願いですが、宮城県では、仮設住宅建設やがれき処理事業はブレハブ建築協会やゼネコンに“丸投げ”発注。漁協から猛反発をうけた「水産特区」構想。放射能汚染対策の遅れなど、被災者や地元業者の思いとかけ離れたものとなっています。

宮城県は8月17日、「県震災復興基本計画」の「最終案」を決め、22日の「復興構想会議」で了承されました。この「復興計画」は、野村総研、三菱総研など財界シンクタンクが中核となって作成し、それを“県が丸のみ”して、「上から持ち込み、県民におしつける」ものです。最終案には、突然「地下100mに31~50km」の直線トンネルを掘って、数千億円かけて素粒子現象を研究する線型加速器(国際リニアコライダー)をつくる計画まで挿入しました。

復旧・復興はあくまで、被災者や住民自身の自主的論議を尊重してすすめさせましょう。住民が主体となって再生計画をつくり、財政措置も含めた復旧・復興を行うよう求めていきましょう。

(二)復旧・復興は憲法にもとづく住民の権利です

いま被災者が望むのは、大震災以前の生活、事業、生産の復旧であり、住民の意思にもとづく復興です。

被災者には、憲法で保障された財産権・労働権および地方自治に基づく住宅再建の権利、事業・生産を再開する権利、コミュニティー維持の権利があります。

また、復旧・復興にあたり国や自治体に必要な援助(例えば、二重ローン解消立法、災害救助法の適用、被災者生活支援法の適用等)を求める権利があります。

さらに、県や地元自治体の「復興計画」、「まちづくり」に参加し意見を表明できる権利があります。

復旧・復興は、このような被災者の権利を基本にすえ、国・自治体の責任による被災者の生活・事業・生産の再建と、被災者の納得と意思に基づいた復興が目指されなければなりません。

阪神淡路大震災の際、行政は「単なる復興ではなく創造的復興を」のスローガンのもと、住民不在の都市計画が強行され、神戸空港や大型商業施設等ハコモノ作りに終始。一方、住民は山間部の仮設住宅等に追いやられ、コミュニティーが破壊されたままで多数の孤独死が発生しました。住宅再建の助成要求も「私有財産に補償なし」の一言で切り捨てられるなど、「復興」は被災者の要求を無視し、憲法の理念を裏切るものでした。

この宮城県で、同じ過ちを許してはなりません。

(三)女川原発の撤退を求めます

女川原発は、東日本大震災で5系統の外部電源のうち4系統をショートで失い、非常用のディーゼル発電機も2機が故障するなど、福島第一原発のような事故まで「紙一重」(毎日新聞、5月19日付)の状態でした。原発「安全宣言」は根拠のないもので、女川原発の再稼働は許されません。

私たちは、女川原発の運転再開に反対し、同原発の撤退を求めます。

(四)「県民センター」の運動

「東日本大震災復旧・復興みやぎ県民センター」は、弁護士、医師、学識者や団体・個人が参加して結成されました。

被災者の声をもとに、迅速な救援、生活基盤の回復、復旧・復興の対策を求めて、県と何度も交渉。漁協やJA、農民連と懇談を重ね、石巻で「7・3漁業の未来を考えるつどい」、仙台で「8・2『被災者・地が主人公』の復旧・復興を求める県民集会」を開催して成功させるなど、幅広い共同の取り組みを展開しています。

「みやぎ県民センター」は、県の「復興計画」の策定に対し、分野ごとに13項目にわたる提言を行いました。以下、そのダイジェスト版を紹介します。

ぜひとも、みなさんのご意見をおよせください。

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[ダイジェスト版]

(1)被災者にゆきとどいた支援を

「県民センター」は、被災者のいのちと人権を守る立場から、速やかな義援金の配付、生活再建支援金の給付、失業者の雇用の確保、生活保護手続きの援助などを行い、生活基盤の回復を求めてきました。

《避難所の改善を》
●災害救助法の特別基準に基づき食費の引き上げ、食事内容、被災者のプライバシーの確保、生活環境の改善をはかる。

●避災者が必要な医療や介護サービスが受けられるようにする。健診の実施、保健師や心のケアチームの巡回を行う。

●震災により車中生活をしている人も災害救助法の対象であることを認め支援する。

《仮設住宅・在宅被災者の支援を》
●救助を必要とする人には、食事の提供、日常生活に必要な布団やタオルケット、台所用品などの配付を行う。

●仮設住宅と医療機関、役場・市役所、商店街などをつなぐ巡回バスを。

●孤独死などの二次災害を防ぐため、仮設住宅居住者および在宅被災者の健診や、保健師・心のケアチームの巡回を行う。

●仮設住宅の自治組織やコミュニティづくりを援助する。

●仮設診療所やケア付き仮設住宅、高齢者のサポート拠点、地域包括支援センターの整備を進める。

●仮設住宅のまわりに店舗の設置や移動販売ができるよう援助する。

●仮設住宅の建設は、「木造仮設住宅」の実現など地元業者に発注し、被災地の経済復興を図る。

●民間賃貸住宅を仮設住宅として借り上げ、被災者の希望で対応する。

●在宅被災者についても災害救助法の対象とし、必要な援助等を行う。

(2)住宅・宅地被害に救済を

県内の南部地域、大崎市、石巻圏内および仙台市丘陵部では、住宅・宅地の被害や地すべりが発生。県の調べでも、危険と判定された宅地は20市町289ヵ所2490宅地に及んでおり、地盤災害・宅地被害の公的救済が求められています。

●被災者生活再建支援制度を見直し、支援金の増額を行うと共に、宅地についても被害認定に加える。

●がけ崩れ防止事業など被災宅地の安全確保は、公共工事として復旧する。新潟中越地震などの特例措置を適用するとともに、より一層の要件緩和・特例措置を行って被災者全員の救済を行う。

●宅地災害関連復旧事業の国庫補助率を抜本的に引き上げ、基礎自治体や被災者の負担を軽減する。

●被災者個人に対する補助金等宅地被害に対する公的支援制度を創設する。

●県および自治体は、被災者に万全を期すという姿勢に立ち、独自の助成制度をつくる。

(3)マンション被害の救済を

高層住宅管理業協会の調査によると、マンション総数の約8割に何らかの被害が発生しています。
これまでのマンション支援は、建替え・補修のための融資制度が基本でした。この間の運動と国会論戦によって、被災者生活再建支援制度の加算支援金や、住宅応急修理制度を共用部分の修繕に活用できることになりました。

こうした制度の活用について、マンション住民や管理組合に周知徹底します。

●マンション支援の申請手続きなどを明確にし、速やかに制度の適用ができるようする。

●地盤被害に対する公的支援制度を創設する。自治体は助成制度を立ち上げ、国に財政支援を求める。

●マンション住民や管理組合の相談や悩みにこたえられるよう、相談窓口の設置など相談体制の充実をはかる。

(4)農業・畜産

農業は、代々継いで来た家屋敷もろとも集落、農地がすべて消失するなど打撃は大きい。酪農・畜産は、福島原発の放射能汚染による牧草・稲わら問題、今年産米など農産物への風評被害も、急速に広がっています。

農業再生のためには、農業者の主体的努力を励まし、国・県の復旧・復興事業支援を一段と強め、地元JAや消費者とも連携して推進します。

●放射能の農業全般への影響調査を一刻も早く実施し、営農見通しを明確に示す。

●集落機能維持を可能とする自主的集団移転への国・県の積極的対応を求める。

●高台移転にこだわらない国・県の柔軟な政策対応(被災家屋、地籍の震災時の評価等)。

●農業団地構想の主体に農業者を据え、アドバイザーを配して計画の立案、実現に努める。

●農業の本格的始動を模索するとともに、その間の一定の生活補償手段の提示(現在の地域農業復興組合の継続と地域農業推進者組合への発展的転換など)。

●イチゴ農家の復旧支援を強め、農家集団の自主性を尊重する。

●放射能汚染による、酪農・肥育の畜産農家に対する、賠償金の即時・全額支給の実施。全頭検査体制の抜本強化による出荷可能頭数を最大限に確保する。

●県産米や野菜などの農産物の放射能全量検査体制を確立し、出荷の安全確保に万全を期す。農家経営への賠償と生活保障を速やかに行う。土壌の検査と除染体制を早急に確立し、推進する。

(5)農業・水産

1万2千隻余に及ぶ船舶の大破、壊滅的打撃を受けた漁港や漁村。水産業の復旧・復興は、国の資金投入と抜本的対策がなければなりません。

宮城の漁業復興に向けての最大の障害は、村井知事の構想。漁港の集約化や、利益追求の民間企業に漁業権を与える「水産特区」創設は、「浜に混乱をもちこむだけ」の怒りが広がり、導入は2013年以降とする方針。何よりも漁業、とくに養殖業の復旧に努めるべきです。岩手が約4千隻の漁船を新造・修理して提供、約8億円の養殖施設の復旧予算を執行した、のとは大違いです。

漁業復旧に手をこまねいている村井県政に対して、漁民の意向を反映できる施策を要求します。

●漁業権を守り、浜の復興を急ぐ(142あるすべての漁港の応急的対応処置の早期実施、20m以上の海中のがれき撤去)。

●漁港の集約化に関しては、漁協との話し合いを重視する。

●消費者特に県民との連携を強め、新しいかつ効率的なフードシステムの再構築を図る。

●当面の間、漁業関係者間での自主的協議、限られた生産手段の利用についての検討結果を尊重した復旧対応。

●職住接近、コミュニティを大切にした集落移転への支援。

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(6)中小商工業

水産加工施設や大量の原材料の流失等で水産関連産業は完全に生産がストップ。雇用や運送関連業者や周辺の飲食業も仕事を失いました。

雇用調整助成金の事業主負担も、資金繰りが大変です。

「中小企業は地域経済の主役」をモットーに、商売や事業の再開への支援を急ぐべきです。

●地元企業の参画で、がれきや廃棄物処理、まちの再生活動を促進する。

●地域の条件を考慮したエネルギー再生に、第一次産業や中小企業の振興との相乗効果をはかる。

●事業再開と雇用拡大を支援する政策で安定雇用を確保する。

●中小企業の新規雇用に助成・奨励し、被災者や若者の仕事を増やす。

●水産加工業者へ緊急支援を。

●コミニュティービジネスで地域経済再生と住民生活保障の政策を。

●共同店舗・仮設工場・移動販売車購入事業に国・自治体からの補助を。

●事業の共同化・地産・地消で地域活性化を。

●再開をめざす被災企業に、返済不要の立ち上がり資金を提供する支援制度を創設。無利子融資や利子補給、制度融資の抜本的な拡充をはかる。

(7)『二重ローン』ゼロから出発

被災した市民や中小・零細事業者は、建物、自動車及び事業用資産など所有する財産を失ったのに、ローンやリース代金など債務を負ったままの状態です。

多額の負債を抱えたまま、生活・事業を再興していくことは非常に困難であり、「マイナスからではなく、せめてゼロからの再出発を」――これが、いま、復興への第一歩を踏み出すために共通した願いです。

●「被災者に希望の光を!~被災者のローンをなくそう~」――不合理な既存債務から、被災者を広い範囲で救済していく仕組みをつくる。

●国の責任で債務を「凍結・減免」し、債務の重荷を取り除く。

(8)医療・介護・福祉・社会保障

いのちとくらしを支える医療・介護・福祉の復旧・復興は欠かせません。

震災を“大義名分”とした医療・介護分野の市場化の促進や、社会保障の後退を許さず、被災者の人権が守られ、心身ともに健康を回復するよう取り組みます。

《医療・介護・福祉》
●被災者に医療・介護を利用する条件を確保。被災者の一部負担金免除の対象、期間を拡げ、被災者の保険料を軽減する。全被災者に正式な保険証を発行する。

●医療・介護分野での人材確保のため、医療・介護サービスを継続できる展望をつくり、事業の再建を早めるために「つなぎ資金」など県独自の施策を創設する。

●地域医療の復旧には、全ての民間医療機関の再開が急がれる。仮設診療所建設など民間医療機関にも差別なく補助を行うよう、国とともに県の施策が必要である。

●高齢者の特養、介護施設の不足は深刻であり、新しい施設の建設も急がれ、行政による土地提供や確保の補助金制度を設ける。

●疾患対策。孤独死、感染症対策、PTSDなど心のケア、がれき処理における粉じん対策など、震災関連の健康被害に対する対応が欠かせない。地元で活動する医師への支援や、原発被ばくなどに対する長期的な健康管理施策が必要である。

●公衆衛生・福祉。保健所保健師の人員増強、地域包括支援センター、民生委員などによる地域の保健予防福祉活動を強化する。

《社会保障》
●憲法13条、25条の幸福追求権、生存権等に基づき、積極的に被災者の状況を詳細に把握し改善に努める。

●被災した生活保護者には義援金などを収入認定せず、保護費支給に査定しない。

●被災による母(父)子家庭が増大したことを踏まえ、成人まで医療費免除制度を新設する。

(9)労働・雇用

《不当解雇は許さない》
被災した中小企業経営者は、創意を発揮して従業員を解雇せずに会社再建に努力。一方、大企業(ソニー多賀城工場や東北リコー等)は、便乗的な人員整理を行っています。

「震災を理由に無条件で解雇ということはできない」(細川厚労相の国会答弁)。整理解雇に対しては、「人員整理の必要性」「解雇回避努力」など4要件の充足が必要とされています。単に経営上の困難という理由だけでは、解雇は無効です。

●雇用調整助成金制度等の「雇用を維持するための支援」を活用しながら、企業に対して解雇を回避させる。国・自治体は、法的義務および社会的責任を果たす。

●天災事変等の場合、解雇予告手当の支給は、「その事由について行政官庁の認定を受けなければならない」と定められており、安易な除外認定を行わせない。

《労働者の勤労の権利》
労働権は、憲法上の基本的人権として保障されており、国・地方自治体は、その実現に責任を負っています。臨時・パート・派遣等の低賃金で不安定な非正規雇用であっては、被災地における労働者とその家族の生存権保障の確保は不可能です。

●被災地における雇用保険の給付期間を特例として延長させる。

●震災復興のために、公共サービスに従事する地方公務員の増員。公共関連事業で働く労働者に適正な賃金・労働条件と雇用の安定・継続を保障するための「公契約条例」を制定する。

●宮城県の現行最低賃金の時給674円を1000円に引き上げ、被災地の労働者全体の賃金・労働条件の改善に繋げていく。

●国・自治体による被災者や若者の雇用創出、仕事おこしを促進させ、被災地の地域経済の回復をはかる。

(10)復興に女性の参画を

日本国憲法とジェンダー平等にもとづく希望ある復興対策をめざします。

●女性の仕事の確保と正規雇用化。

●被災者の仕事を保障するうえでも臨時保育所や仮設保育所・学童保育所の設置、保育料の減免・無償化など、積極的措置をとる。

●復興に女性の参画、復興委員の30%以上は女性に。

●市民センターやコミュニティーセンターなどに女性のための相談窓口を設ける。

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(11)子どもと教育

日本国憲法および「子どもの権利条約」に基き、子どもたちが安心をとりもどし、思いや願いが自由に出せるようになるまで、父母、被災者への援助を計画的に行います。

●父母または養育に責任を持つ立場の大人の生活不安の解消と雇用の確保をはかる。

●子どもの家庭での衣食住の保障。

●施設及び通学手段(スクールバス・タクシー通学)、冠水時の通学路の安全確保をはかる。

●完全給食の早期復旧と自校調理方式に切り替える。

●教職員の加配を継続し、30人以下学級の実現、複式学級の解消をはかる。

●子どもの健康診断の実施及び回数を増やす。

●義務教育はすべて無償となるよう、就学支援制度の拡充をはかる。

●給与制の奨学金制度をつくり、高校・専門学校・大学への進学の機会を保障する。

●子どもの遊び場の確保、文化・芸術的な活動の場を提供する。

●「地域の学校」を大切にしていく。

(12)原発・放射能はいらない

県内各地で、福島原発事故による放射性汚染の被害が広がっており、「危険と隣り合わせでは、住民生活と産業の再建は考えられない」と、原発批判の声が高まっています。

《綿密な放射線の測定と除洗、被ばくの軽減、食品の安全確保を》
綿密で系統的な放射能モニタリングと被ばくを防ぐ知識の普及を行う。

●幼稚園、保育所、障害児施設、小中学校のすべてで綿密な放射線測定を行う。放射線量が高い場所をつきとめ、表土を除去するなどの対策で年間の積算線量を1ミリシーベルト以下にする。

●乳幼児から18歳までの高校生、妊婦のすべてについて、被ばく線量と健康の管理を行う。

●水と食品のモニタリングを組織的かつ系統的に行い、内部被ばくを防ぐとともに、宮城県産の食材の安全性を確保する。

●水産物について、海域毎、魚種ごとに放射能汚染の検出を行う体制をつくる。

《女川原発の検証、根拠のない『安全宣言』による再稼働の中止》
●女川原発で起こっていた事象と教訓を県民に説明する。

●女川原発防災計画の再検討と使用済み核燃料の安全性確保対策をとり、周辺自治体との安全協定も抜本的に見直す。

●リスクの高いプルサーマルは中止する。

《原発からの撤退、きめ細かい自然エネルギー開発で地域振興を》
●宮城県の復興計画には「原発からの撤退」を明記する。

●県内の条件を生かして、小規模水力、波力、潮汐、地熱、風力、太陽光、バイオマス発電、木質ペレット等の自然エネルギー開発を進める。

●小規模なエネルギー開発を支援して、地域ごとにエネルギー自給率を高める。

(13)がれき処理と環境衛生

災害廃棄物の処理の現状は、① 第1次仮置き場について、石巻の場合などは石巻商業高校のすぐ側に設置され、悪臭などで耐えきれない環境。② がれき撤去が大手ゼネコンに一括発注がなされ、地元業者をないがしろ。③ 防じんマスクの着用はもちろん、アスベスト調査・対策等は極めて不十分。④ 第2次仮置き場について、気仙沼市本吉町小泉地区は民有地かつ河川敷側であり、地権者などの反対の声が強まっています。このように極めて多くの問題が現出しています。

《いま重要なこと》
「大災害による緊急事態」等を口実に、ずさんな処理を行うのではなく、廃棄物処理の貴重な蓄積の上に築かれてきた『将来にわたって環境負荷を残さない廃棄物の処理原則』をしっかりと堅持した対策を推進することです。“緊急避難等という、でたらめな対応”は決して許されるものではありません。

●地元企業の参加ならびに仕事を失った地元の農水産業者等の就労なども積極的に推進する。

●そのためにも、「自衛隊が撤去作業を行った地域は補助対象外」などといわせず、きめの細かい廃棄物処理制度を確立し、100%国負担を堅持する。

●アスベスト被害、焼却や焼却灰などのダイオキシン被害、新たな重金属被害、更に放射能被害など、地下水対策も含めて、長期的ハエ対策などを含む「環境・衛生対策」を国の責任で早急に講じる。

●廃棄物処理に対する「県民の声の窓口」を設置する。

「復興のあり方の原点」にたちかえって力をあわせましょう

「自然災害は、まず、救援という行為を通じて基本的な人道支援に関する緊急の提案を必要とする。その次に復興(rehabilitation)が来るが、津波を受けた国々では、5年ないしはそれ以上の期間を必要とする。

この期間においては、コミュニティーと農業、漁業、水産業、そして観光業を含む様々な経済部門との持続的な開発に力を入れることになる。そして救援活動からの復興へのその後の発展に動くにつれて、資源の最適な使い方を研究して支援の対象をさだめるためにより多くの調整(coordination)が必要となる」

これは、スマトラ沖大地震・インド洋大地震(M9.1)2004年12月に発生してから、わずか2ヶ月後の2005年2月28日、バンコクで開催された国際会議で採決された、「アジアにおける津波災害を受けた国々の漁業と水産業復興に向けた地域戦略」の冒頭の文章です。

ここでは、あくまでも復興は「人」、「人の生活が成り立つこと」が最優先の課題であり、国際的かつ地域的な合意と整合性ある復興であるべきとのメッセージを読み取ることができます。また、漁業、水産業の復興に関しては、天然資源の環境面での持続可能性、コミュニティーの維持、漁撈後の女性労働の評価等が重要なビジョンとして盛り込まれています。

あるべき復興の入り口は「人」であり、「生活」「生業」の復旧でなければなりません。その手法として、県民・市民参加の復旧・復興があるべきです。

私たち「県民センター」がめざすものも、その一つの型と考えます。

県民のみなさん、「被災者・被災地が主人公」の立場で、住民のための復興をめざして、力をあわせましょう。

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