一、高層住宅管理業協会の調査によると、東日本大震災によるマンションの被害は、東北地方6県では「大破(致命的な被害・建替えが必要)」=0%、「中破(大規模な補強・補修を必要とする)」=1.6%、「小破(タイル剥離・ひび割れ補修など相当な補修が必要)」=17.2%、「軽微」=62.4%であり、約8割のマンションに何らかの被害が出ています。中でも、「中破」26棟中23棟、「小破」283棟中249棟など、被災マンションの78.6%が宮城県で、ほとんどは仙台市内に集中しています。
一、マンションの場合は、区分所有法によって専有部分と共用部分が区別されており、共用部分の修繕については、居住者と区分所有者全体の合意のもとにすすめなければなりません。阪神大震災では、被災マンションの解体撤去と建替えを行政が誘導したために、居住者・区分所有者の中に対立や紛争が持ち込まれ、長期にわたる裁判になった事例もあります。こうした事態を引き起こさないよう、被災マンションへの相談体制の充実と公的支援制度の拡充がどうしても必要です。
一、現在の支援制度は、建替え・補修のための融資制度が基本であり、管理組合の修繕積立金、地震保険からの保険金を組み合わせて行なっています。これに加えて、被災者生活再建支援制度の加算支援金については、共用部分の修繕に活用できることが確認されました。さらに、この間の運動と国会論戦によって住宅応急修理制度を共用部分の修繕に活用できることになりました。
一、一刻も早い対応を求めている県民に対して、行政は直ちに行動すべきです。
(1)共用部分の修繕に、被災者生活再建支援制度や住宅応急修理制度を活用できることが、マンション住民や管理組合に知らされていません。パンフレットや説明会などで周知徹底を図ること。
(2)制度の適用について、申請手続きなどを明確にし、すみやかに制度の適用ができるよう改善すること。
(3)一般住宅と同様に、地盤被害に対する公的支援制度を創設すること。国待ちではなく、県や仙台市が助成制度を立ち上げ、国に財政支援を求めること。
(4)マンション住民や管理組合の相談や悩みにこたえられるよう、相談窓口の設置など相談体制の充実を図ること。