【基本的な考え方】
<現状の評価>
震災4ヶ月を経過しましたが、依然として劣悪な環境に置かれている被災者は少なくありません。災害弱者の高齢者と障害者に目配りが欠かせません。全ての被災者の人権が守られ、心身ともに健康を回復し、新たな健康破壊が起こらないようにすることが大切です。
<何が必要か>
大震災の復旧・復興には、医療・介護・福祉の復旧・復興が欠かせません。この分野に携わる人の確保と施設の再建を急ぐ必要があります。関係者は再建への意欲を持っており、資金調達、助成など被災者を支え、大震災の前に戻すことに県は責任を持つことが必要です。
<国、県はこれまでの政策を見直すこと>
従来の病床削減、自治体病院の統廃合は大震災後の医療の復旧・復興を困難にしています。特養、介護施設は震災前から不足でした。被災施設の早急な再建と、新たな施設の建設が必要です。震災を“大義名分”とした「規制緩和」「特区」による医療・介護分野の市場化の促進や、「税と社会保障の一体改革」は、国民の権利としての社会保障を後退させます。消費税を社会保障の財源とすることに反対します。
【当面の具体策】
(1)医療一医科・歯科・保険薬局、介護・福祉関係
1)<被災者に必要なこと>
被災者が必要な医療・介護を利用する条件を確保する。被災者の一部負担金免除の対象、期間を拡げる。被災者の保険料を軽減する。全ての被災者に正式な保険証を発行する。免除証明書の持参を受診時の要件としないこと。
2)<医療職等の確保>
従来より医療職は不足でした。医療・介護分野での人材確保のため、医療・介護サービスを余裕をもって継続できる展望をつくり、事業の再建を早めるために「つなぎ資金」など県独自の施策を創設する。介護職員の増員は、雇用政策としても重要です。
3)<医療機関の診療再開>
地域医療の復旧には全ての民間医療機関の再開が急がれます。政策医療を行う医療機関のみでは地域医療は支えられません。診療の再開のため瓦礫処理、解体、修繕、仮設診療所建設など民間医療機関にも差別なく補助を行うことが必要です。国の施策に加え県独自の施策が必要です。療養病床の復旧・拡大は急を要します。
4)<高齢者介護・福祉施設の復旧>
介護施設への支援は医療機関と同様に重要です。震災前から特養、介護施設の不足は深刻でした。新しい施設の建設も急がれます。その際、行政による土地提供や確保の補助金制度を設けることが必要です。
5)<疾患対策>
孤独死、感染症対策、PTSDなど心のケア、瓦後処理における粉塵対策など、震災関連の健康破壊に対する対応が欠かせません。防塵マスクの支給や、原発被曝などに対する長期的健康管理施策を作ることが必要です。
6)<公衆衛生・福祉>
保健所保健師の人員増強、地域包括支援センター、民生委員などによる地域の保健予防福祉活動強化が必要です。
7)<医療復興会議等>
県地域医療復興検討会議等の検討状況をその都度明らかにし、説明会、パブリックコメントを広く求める。また、公開で関係者の意見聴取も企画することも必要です。
(2)社会保障
1)憲法13条、25条の幸福追求権、生存権等に基づき、積極的に被災者の状況を把握し改善に努める。大震災により、住宅、職業を失った被災者の雇用の確保など生活再建を急ぐ必要があります。
2)被災した生活保護者には義援金などを収入認定せず、保護費支給に査定しない。生活保護制度の改悪に反対する。被災による母(父)子家庭が増大したことを踏まえ成人まで医療費免除制度を新設する必要があります。