5・29つどいアピール
3・11東日本大震災は、私たち宮城県民に対しても未曽有の被害をもたらしました。多くの県民が、命を、家族を、家を、店を、工場を、ふるさとを、思い出を、何もかも失ってしまいました。
いまだに避難所で暮らす人たちは、満足な食料を支給されず、プライバシーが守られず、衛生上からも劣悪な住環境の下での生活を強いられています。また、雇用を奪われ、生産現場を奪われ、復旧・復興を目指すにも、国や県から明確な支援策は示されないままです。義援金も速やかに配られず、その上、住宅ローン、銀行借入等のいわゆる二重債務問題など大きな不安の下で多くの人々が苦しんでいます。さらに、福島原発事故による放射能が県民を危険にさらしています。
同時に、大震災から2か月以上たち、宮城県の復旧・復興を前進させることが大きな課題になっています。
宮城県の村井知事は、この聞、「宮城県震災復興基本方針(素案)」(4/22)を発表して以来、「農地の大規模化と企業の参入」、「漁港の集約化」、「水産特区を導入し、そこに企業を参入させ漁民をサラリーマン化する」、F災害対策税の創設」、実質的な「道州制の導入」等を提唱しています。しかし、これらの構想は、決して被災者・被災地の意向を踏まえたものではありません。水産特区の構想に対しては、地元漁協・漁民の大反発を招いていることからも明らかです。村井知事の提唱する構想は経済同友会の主張とうりふたつであり、震災を奇貨としてとらえる財界の求める「構造改革」を宮城県で推し進めるものにほかなりません。
阪神淡路大震災のときの復興は、行政の「単なる復興ではなく創造的復興を」のスローガンのもと、神戸空港や立派な商業施設等ハコモノ作りに終始しました。一方、もともとの住民は周辺に追いやられコミュニティが破壊されたまま多数の孤独死が発生しました。この宮城県で同じ過ちをくりかえしてはなりません。
復旧・復興は上からの恩恵ではありません。日本国憲法13条、25条にもとづく住民の権利です。私たちは、村井知事の上から目線の復興構想に対抗し、被災者・被災地が主体の復旧・復興を目指します。各被災地から起こっている住民による復旧・復興のうごきをサポートしていきたいと考えています。
ともに前へ歩みましょう。
2011年5月29日
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター設立のつどい参加者一同